2012年09月26日

旅行者の朝食のエピソード その2 米原万里のエッセーネタ話 2




言葉はいくら練習しても、その背景を知らないと難しい実例である。笑えるが、考えてしまうな。

千葉の幕張新都心のインプラント専門医、古賀テクノガーデン歯科の古賀です。今回は大好きな米原万里の著作からのエピソードの続き。

昨日のブログで、米原万里さんのエッセーからの引用でロシアの小咄、熊のエピソードの一つを紹介した。確かに、笑えるのだが、今回のは以下のような話。

ある男が森の中で熊に出くわした。熊はさっそく男に質問する。
「お前さん、何者だい?」
「私は、旅行者ですが」
「いや、旅行者はオレさまだ、お前さんは、旅行者の朝食だよ」

常日頃、傑作な小咄を山のように聴いているロシア人が爆笑の嵐だったという。他にもくだらぬ小咄で、旅行者の朝食という言葉に皆が反応するらしい。

チェコで子供時代を過ごし、後に同時通訳になった米原万里さん、達者な通訳もさっぱり意味が分からない。知り合いのロシア人に尋ねても、「クックックック」と笑って教えてくれない。

なぜ?脳裏が?だらけ。で、いろいろ聞いてようやくわかったのは、「旅行者の朝食」という名前の想像を絶するほどまずい缶詰があり、あの食料供給の乏しいソ連当時でさえ、とても食べられたものではないとされていたという。

確かに、これは住んでないとわかるまい。しかも、この「旅行者の朝食」、ソビエトの崩壊とともに、消え去ったらしい。米原万里さんは、探しだして賞味してみたという。

牛肉ベース、鶏肉ベース、羊肉、魚、豚肉と5種類もあるのだが、どうも、穀物系のでんぷん質を蒸し煮した粗悪な肉を加工したものらしい。

物好きな人もいるらしく、米原万里さんの本に出ていた「旅行者の朝食」として、写真をネットでアップしている方がいらした。ピクスにあるのはその実物の写真である。便利な世の中である。

20世紀末まで、食糧事情で苦労した世代のロシア人、知らない人はいないらしい。その後、当然、輸入品に席巻され、姿を消した。

ともあれ、ロシアのあちこちで、このたぐいの小咄があるという。美味しい缶詰を開発するより、そうして揶揄してネタにし、小咄で笑い飛ばす人間性もロシアらしいという。

それにしても、かようなジョークを会議中にされたら、通訳はたまるまい。他にも、米原さん、面白いエピソードを書いていた。

ある国際会議で、日本の経済界のお偉方、ロシアや欧米の参加者のいつ中、得意のジョークがエスカレートして悪ノリ。

日本では「失楽園」というのが流行っており、なんとなくプールに中年のカップルもたくさんいるかと思って出かけたら、豊島園(年増園のダジャレ)でした。ガハハハ。」

いったい、どう訳しろというのか。まず、ここには問題がいくつもある。駄洒落は訳すことは不可能であり、しかも、同時通訳はごまかしが限りなく難しい。

それに、通常、欧米のインテリは、「失楽園」と言われると、古典のミルトンの作品、イブとアダムの話を思い浮かべる。よって、より、難しいことになる。

ましてや、豊島園と年増園の駄洒落は、まず同時通訳のリアルタイム変換では説明不能であろう。

ともかく、かように文化の違いは背景が違うだけに理解が難しいのである。海外に暮らした人間は、こうした経験を少なからず持っていると思う。

語学を勉強していると、かような部分を多少知る努力は必要だ。もちろん、「旅行者の朝食」や「年増園」のレベルはムリ。

せいぜい、昨日のブログの経験な熊の話に笑えれば最高だと思う。外国の言葉は異なる文化そのものゆえ、奥が深いし、逆にそれが面白いのである。


taketo_koga at 21:46コメント(0)トラックバック(0) 
読書 | 米原万里エッセーネタ・シリーズ

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